女性の薄毛の特徴

女性型の薄毛・脱毛(女性型脱毛症)の特徴は、頭頂部を中心とした比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンが多く見られ頭部全体的に薄毛の症状が進行します。

 

女性の薄毛の原因

女性の薄毛は男性よりも複雑でホルモンバランスの乱れや頭皮の血流量低下などに影響する様々な要因が関与します。

 

①女性型脱毛症のヘアサイクル

正常なヘアサイクルに比べ男性型脱毛症は成長期が短くなるのに対して、女性型脱毛症では休止期が延長されることにより次の新しい毛髪が生えてこないため、毛髪本数が減ってしまうことによって薄毛の症状が起こります。

 

②女性ホルモンと脱毛症

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。美や健康に深いかかわりがあり、女性の身体リズムを作り出します。
一方で、エストロゲンやプロゲステロンが欠乏すると心身に様々な症状が現れます。特にエストロゲンの欠乏は頭頂部の薄毛の原因になります。

エストロゲンの分泌量は、成長に伴い増加し20-40歳代にピークを迎えその後減少していきます。更年期以降に薄毛が進行する要因です。

また産後に抜け毛が増え分娩後脱毛という症状があります。
これは妊娠期に必要なエストロゲンには、毛髪の成長期を維持・促進する作用があり、分泌が盛んな妊娠期と産後のギャップにより起こります。妊娠期に多く分泌されたエストロゲンの作用で成長期が維持され抜けなかった毛髪が、産後に一気にエストロゲンが減少しために、ヘアサイクルが一気に休止期に移行して毛髪が抜けてしまう症状です。この症状は一過性で可逆的です。

 

女性型脱毛症の治療

日本皮膚科学会による男性型および女性型脱毛種の診療ガイドライン2017年版
ミノキシジルの外用剤は女性型脱毛症にも男性型脱毛症にも有効な治療薬です。
Ⅱ型5α還元酵素を阻害剤のプロペシア(フェナステリド)、ザガーロ(デュタステリド)は男性型脱毛症に対しては効果が高く奨励度A(治療を行うように強く勧められる)とされていますが、女性型脱毛症に対しては効果ないため、奨励度D(行わないように勧められる)とされています。一方ミノキシジルは女性型と男性型の療法に奨励度Aとされる薬剤です。

ミノキシジルの作用機序は、休止期から初期成長期への移行を誘導(新しい毛の発毛を促進、休止期の毛包を活性化)、初期成長期から後期成長期への維持および延長(毛髪の成長を促進、小さくなった毛包を大きく成長)といった作用により発毛効果があるとされていますので、休止期延長型の女性型脱毛症に効果が期待できます。

 

「頭皮マッサージ」は頭皮の血行を良くし、毛髪を生みだす毛母細胞の働きを活性化すると経験的にも長く行われてきました。血行を良くすることは発毛に良いことは間違いありません。また、発毛剤等の頭皮への浸透を促すことによりその効果を助けることにもつながります。
一方で近年では「メカノバイオロジー」という学問が注目を浴び医療への応用などにも応用が始まっています。これは、物理的刺激(メカニカルストレス)を細胞、組織や臓器に与えると様々な反応を起こすことがわかってきました。生体に物理的な刺激を与えるとことにより様々な生理活性を誘導し、治療やケアに応用できます。
医療の現場では既に骨折治療や創傷治癒、さらには再生医療などの分野で活用が期待されています。
一方、発毛に対しても研究が進み、頭皮マッサージには血行促進のほか、その物理的な刺激により発毛の促進、抜け毛の予防に有効であることが科学的に分かってきました。